どんな本?

 

この歌集には、自然を主題としてやまとことばだけで(音読みの言葉を使わずに)詠んだ200首ほどのやまとうたを収めています。

やまとうたという取っ付きにくい内容ですが、本の読み方としては、まず歌を読み上げることでその音楽性を感じて頂くことをお勧めしています。本の副題は「やまとうたで『聴く』自然の情景」です。

上代語を中心に古語を多用しており、古文に馴染みのない人でも古語辞典なしでおおまかな意味が解るように、巻末に古語の訳を中心とした註釈を付けています。

 

「あとがき」でも述べている通り、この作品は短歌や古文に縁のなかった私が、偶然に出逢った万葉歌を耳から聞き覚える中で自然発生的にできたものです。古い歌の模倣的な改作や本歌取りのような歌ではなく、和歌の伝統や世界観とはほとんど関係がありません。

これらの歌は古語を多用していますが、現代語に訳してみれば「花が風に揺れている」といった、シンプルで易しい内容のものがほとんどです。

なお、歌集に収めた歌の8割ほどは純粋に自然の風景を詠んだものですが、残りの2割ほどは病を得てからの日々の心を詠んだ歌です。

 

 

「どう理解するか」というよりは「何を感じるか」といった作品ですので、気軽に触れて頂ければ幸いです。